リーダーインタビュー

「電力小売りの地産地消」を全国に広めたい【リーダーインタビュー】

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minden_1目指すのは、「誰もが電気を創ることができ、分け合える社会」

みんな電力株式会社

新電力事業部 部長代理 飯野隆志氏

広報担当 上田マリノ氏

4月から電力小売りが全面自由化されるのに伴い、消費者は電力会社を自由に選べるようになる。「6割以上の人が電力会社の変更を検討している」とする調査もあり、価格やサービス内容を競う電力の競争が始まろうとしている。

新たに150社以上の新電力が誕生する見込みで、再生可能エネルギーの広まりを期待する声が高まっているが、先行して電力の自由化が始まったドイツでは過去、大手との価格競争になりほとんどの新電力が残らなかったという経緯がある。また、電力会社に電源構成を開示する義務がないため、現時点(2016年3月)では、ホームページなどで電源構成を明らかにしている企業も3社ほど(東京新聞調べ)に留まる見通し。新電力企業の多くは、LNGや石油を主な電源構成にするとみられ、電源を選ぶという観点からは消費者の選択肢は限定されたものになりそうだ。

そんな中で新電力のひとつである東京都世田谷区のみんな電力株式会社(大石英司社長)は、再生可能エネルギーによる電力事業をメインに置き、ユニークな取り組みで注目を集めるベンチャー企業だ。自社の太陽光発電所で作った太陽光、固定価格買い取り制度(FIT)で調達した再生可能エネルギーの電気をメインとして電力事業をスタートする。

同社が目指すのが「電力小売りの地産地消」。地域で採れた野菜などをその地域で消費する「地産地消」の動きが全国各地で活発になっているが、いわばその電力版である。どこでどのようにして作られた電気なのか、発電方法などを明示し、その電力を求める需要家に販売していこうという試みで、「顔の見える発電所」として全国の自治体や企業にも広めていく考えだ。

この他、環境関連の各種プロジェクトにも取り組む同社・新電力事業部の飯野隆志氏、広報担当の上田マリノ氏に話を聞いた。

――会社設立の経緯と事業内容を教えてください。

「ある日、電車に乗る女性のカバンにつけられた小さなソーラー発電のキーホルダーを見た社長の大石の『どこでも電気が創れるようにしたい』との想いがきっかけとなり、2011年に『みんなで創って、みんなで選ぶ電力会社』を目指し設立しました。

自社開発した携帯タイプの発電する巻物『solamaki』。ユニークなソーラー製品の開発にも取り組んでいる。

自社開発した携帯タイプの発電する巻物『solamaki』。「いつでも、どこでも電気を創る」を目指し、各種ソーラー製品の開発にも取り組んでいる。

現在は、自社で太陽光発電所(世田谷区上祖師谷)を保有し新電力(PPS)事業を行うほか、建設業許可を受け、太陽光、小水力、バイオマスなどの自然エネルギー発電所の建設やコンサルティングを行う電源開発事業を中心に事業を行っています。この他、アウトドアやカバンなどつけて場所を選ばず発電できる携帯タイプのソーラー『solamaki(ソラマキ)』などの開発・販売など、次世代エネルギーの研究開発にも取り組んでいます」

 

 

――新電力事業についてお聞かせください。

「自社保有の太陽光発電所をはじめ、太陽光を始めとする他の発電所からも調達します。天候によって左右されるのが太陽光の弱点ですが、不足した場合は東京電力からも調達できるようになっているので、停電が起きるのでは…という心配はありません。

また、価格面でもシステムの見直しなどによりコスト削減に努めています。当社が入居する世田谷ものづくり学校では電力の調達先を当社に切り替え、この結果、同校の電気料金は約4%下がる見通しです。

価格面が注目されていますが、環境配慮の観点からも再生可能エネルギーに力を入れています。当社が拠点を置く東京・世田谷区は提携自治体との再生可能エネルギーを通じた連携・協力を進めるなど、環境に高い意識を持つ自治体でもあり、区民からの支持もあります。また、市民共同での発電所が生まれたり、NPO、NGOからも『応援したい』という声もいただきます。こうしたニーズに応える会社を目指したいと考えています」

――「電力小売りの地産地消」という取り組みが注目されています。

「誰が、どこでどのようにして作った電力なのかを知りたいという消費者の声も少なくありません。そんな要望に応え、消費者がスマートホンなどを使って電力の生産者の特色やこだわりを知り、応援できるシステムを開発しました。Webサイトには電力の種類や生産者の情報、応援した人には特産品のプレゼントもあり、価格だけでなく、いろいろな角度から比較検討し、選ぶことができます。

このシステムは、クラウドサービスを活用することで安価に構築しており、販売管理費などを抑えられる利点もあります。当社には太陽光発電や蓄電設備などの様々なノウハウを蓄積していますが、このシステムも併せて、全国の新電力に広めていきたいと考えています」

――次世代の電力開発事業にも取り組んでいます。

「当社には、誰もが電気が創ることができ、その電気をみんなで分け合える世の中にしていきたいという目標があります。発電する巻物『solamaki』は、自社開発した製品のひとつです。いつでも、どこでも、太陽光発電ができ、グリーンエネルギーをスマートに持ち運びできるソーラーシートで、5時間でiPhone1台をフルチャージできます。このほか、集合住宅のベランダでも太陽光発電が可能な『ベランダソーラー』や、自転車のペダルをこいで発電する『自転車発電』、蓄電池などの研究・開発にも取り組んでいます。今後もこうした製品を世の中に送りだしていきたいと思っています」

――CSRの一環として行っている「ジョシエネLABO」について教えてください。

アイドル、理系女子、子育て中のママなど、多彩な顔ぶれが揃うジョシエネLABOのメンバー。企業のCSRとしては、変わった取り組みだ。

アイドル、理系女子、子育て中のママなど、多彩な顔ぶれが揃うジョシエネLABOのメンバー。企業のCSRとしては、一風変わったユニークな取り組みだ。

「環境やエネルギー、社会貢献をキーワードに、主に女性を対象として学習や活動をサポートするプロジェクトです。環境問題に関連する講座や出前授業、社会貢献活動の場づくり、女性目線のアイデア出し、情報交換会などを企画しています。これまで、理系女子による理科教室や、4月から家庭の電気が選べるようになるのに伴い、『生活に影響はあるの?』『仕事に役立つの?』といった疑問に答える電力自由化講座などを行ってきました。今後、女性の声はますます社会に求められていきます。環境問題に関して意識啓発する取り組みを通して、女性の皆さまにもっと身近に環境問題を考えるきっかけを提供できればと考えています」

――電力自由化はビジネスにも大きな影響を与えそうです。

「環境問題にしても、市民としては『本当はこっちの意見の方が正しいよね』と思っていても、会社に行けば、その会社の立場、考え方で行動するといったように、少し前までは同じ人の中にも、企業人としての顔、そして、市民としての顔のふたつがあり、隔たりがあったように思います。しかし、今、著名企業が続々と再生可能エネルギーにシフトする動きは、近い将来、企業と働く人の考え方が融合して、一致した方向に進むことを示唆しているとも言えます。企業や自治体がその動きを加速させており、消費者、ビジネスの垣根はなくなり、近い将来、必ずリンクするはずです。企業も市民も地球環境にやさしい行動を選択することは、ごく当たり前のこととして定着していくと思います」

――企業や働き方も変化していきそうですね。

「今の小・中学校に通う子どもたちは、学校の授業で学ぶこともあり、環境問題についてよく勉強しています。こうした高い意識を持つ人材が今後、育っていくことを考えれば、若手や中高年の方もきちんと勉強していくことが求められるでしょう。業界に関係なく、環境を意識して行動することが世界の環境を守ることにつながるはずですし、どんな仕事でもあっても自分にできること、未来への貢献につながることがあると思います。一人でも多くの人が行動すれば社会も変わっていくはずですし、新しい発想や行動力が不可欠です。これからを担う若い世代の人たちに期待しています」

【会社プロフィール】

みんな電力株式会社(東京都世田谷区池尻 2-4-5 世田谷ものづくり学校 210教室)

http://corp.minden.co.jp/

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橋本滋

ライター。1965年生まれ。横浜市出身。サレジオ学院高校から麻布大学へ進む。新聞・雑誌記者、大手広告制作会社のライター、制作ディレクターとして、紙媒体やWEBで原稿執筆、コピー制作に従事。20年以上にわたり、企業、ビジネスなどの取材を行う。企業・ビジネス、PR、採用、環境問題が得意分野。地球環境問題のニュースサイト「環境ナビ」、環境にやさしいビジネス、トレンドを紹介する「BlueBizNet」等で執筆。

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